Synergistic biodegradation of aromatic-aliphatic copolyester plastic by a marine microbial consortium

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Meyer-Cifuentes IE, Werner J, Jehmlich N, Will SE, Neumann-Schaal M, Öztürk B.

Nat Commun. 2020 Nov 13;11(1):5790.

doi: 10.1038/s41467-020-19583-2. PMID: 33188179; PMCID: PMC7666164.

Synergistic biodegradation of aromatic-aliphatic copolyester plastic by a marine microbial consortium - Nature Communications
The degradation of plastics by marine microbes is not well understood. Here, Meyer-Cifuentes et al. use a meta-omics approach to study the biodegradation of an ...

 2017年には3,500万トンのプラスチックが世界中で生産された。そのうち25万トン以上が海に放出され、海上に浮いていることが発見された。2025年までに海のプラスチック廃棄物が桁違いに増える可能性があると推定されている。従来のプラスチックに代わる生態系に優しい代替品として、生分解性プラスチックの商業生産が2000年代初頭に開始された。生分解性プラスチックは、短寿命でリサイクルが難しい商品など特定のアプリケーションに向けて製造されている。ほとんどの生分解性ポリマーは、酵素による加水分解の影響を受けやすいエステル結合を含んでいる。Poly(butylene adipate-co-terephthalate: PBAT) は、adipic acid (Ad)、terephthalic acid (Te)、1, 4-butanediol (B) からなる市販の芳香族脂肪族ポリエステルである。PBATは、フレキシブルな脂肪族成分によって付与された生分解性と、芳香族成分に起因する良好な機械的特性を有している。

 土壌や堆肥微生物によるPBATの脱重合は、よく研究されている。PBATの加水分解活性を持つ既知の酵素には、cutinase-like serine hydrolaseが含まれており、ほとんどが陸上の放線菌や真菌に由来している。これまでのところ、1つのPBAT加水分解酵素のみが水生環境から特徴づけられている。PBATの酵素加水分解は、テレフタル酸-ブタンジオールモノエステル(BTe)、およびモノマーの混合物を生成する。各PBAT分解酵素のBTe中間体に対する活性の程度は異なる。Pseudomonas alcaligenes由来のPBAT分解酵素PpestはBTeを分解することができず、BTeはその酵素活性をほぼ完全に阻害する。同様にHumicula insolens由来のcutinase HiCは、BTeをモノマーに効率的に分解できるThermobifida cellulosilytica由来のThc_Cut1に比べて、BTeに対する活性がはるかに低い。したがって、BTeに対する高い特異性を有するエステラーゼがこの阻害的な分解生成物を除去することにより、酵素的なPBATの加水分解を助けることが提案されていた。この提案された分解経路は、Ideonella sakaiensisによるPET分解経路に類似している。I. sakaiensisによるPET分解は、ポリマーをモノエステルであるmono-2-hydroxyethyl terephthalate (MHET) に分解するPETaseによって開始される。このモノエステルは、MHETaseによって加水分解され、Teとエチレングリコールを形成する。I. sakaiensisはまた、2段階の反応でTeをprotocatechuate (PCA)に変換するTe分解クラスターを持っている。PCA分解クラスターによってピルビン酸とオキサロ酢酸に変換され、芳香族モノマーは完全に代謝される。PBAT と PET の構造的な類似性により、一部の PBAT 分解酵素は、よりゆっくりではあるが PET も分解することができる。

 これまでに発見されたほとんどのPBAT分解微生物は、モノマーをC源として利用できない。このような複雑なポリマーは、環境中の単一の微生物ではなく、微生物コンソーシアムによって資化される可能性がある。しかし、複数微生物によって協調した分解のメカニズムはまだ研究されていない。PBAT分解中間体はPET分解中間体と構造的に類似していることから、微生物コンソーシアムによるPBAT完全分解は、I. sakaiensisによるPET分解と同様の経路をたどるのではないかと考えられた。

 海洋微生物による合成高分子の分解は、土壌や堆肥中での合成高分子の分解ほどよく理解されていない。本研究では、市販PBATをベースとしたブレンドフィルムの海洋微生物コンソーシアムによる分解系について調査した。ブレンドフィルムは、PBATにTe, B, sebacic acid (Se) をブレンドしたもので、少量のポリ乳酸を含む。私たちはこの生分解性プラスチックの分解経路を、メタゲノミクス、メタトランスクリプトミクス、メタプロテオミクスを用いて解明した。この培養物は、ブレンドフィルムを唯一の炭素源として利用することができ、約15日でCO2とバイオマスへ変換した。このコンソーシアムのメンバーによって異なる分解ステップが実行され、ポリマーは相乗的に分解された。私たちは、脂肪族芳香族ポリマーとその分解生成物をそれぞれ分解する可能性のある6種類のPETase様酵素と4種類のMHETase様酵素を同定した。また、各分解ステップを実行する可能性のある遺伝子や生物は複数存在するものの、生分解中に活性を発揮するのはごくわずかであることが明らかになった。

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