Z-form extracellular DNA is a structural component of the bacterial biofilm matrix

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Buzzo JR, Devaraj A, Gloag ES, Jurcisek JA, Robledo-Avila F, Kesler T, Wilbanks K, Mashburn-Warren L, Balu S, Wickham J, Novotny LA, Stoodley P, Bakaletz LO, Goodman SD.

Cell. 2021 Nov 11;184(23):5740-5758.e17.

doi: 10.1016/j.cell.2021.10.010. Epub 2021 Nov 3. PMID: 34735796.

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 細菌のバイオフィルムは、表面に凝集または付着した細胞群で構成されており、これらの細胞群は細胞外高分子物質(extracellular polymeric substance: EPS)マトリックスに埋め込まれている。このEPSには、細胞外DNA(extracellular DNA: eDNA)、タンパク質、脂質、多糖類、2価の陽イオンが含まれており、過酷な環境、抗菌剤、宿主の免疫エフェクターに対する保護バリアとなっている。eDNAの構造は、統合宿主因子(integration host factor)とヒストン様タンパク質(histone-like protein)という2つのメンバーからなるDNABIIファミリーのタンパク質によって維持されており、そのうちの少なくとも1つの遺伝子がすべての真正細菌のゲノムに存在している。DNABIIタンパク質は、高い親和性でDNAに結合して曲げることができ、細菌細胞内の複数の核タンパク質相互作用において役割を果たしている。我々はこれまでに、これらのタンパク質は細胞外でも役割を果たしており、eDNAの交差鎖構造を安定化させるためのリンチピンタンパク質として働き、これらのeDNA構造は機能的にバイオフィルムEPS内のHolliday junctionに似ており、バイオフィルムマトリックスの安定性に必要であることを示してきた。特定の抗体を用いてDNABIIタンパク質を除去すると、迅速で顕著なバイオフィルムの崩壊が生じる。

 eDNAは、バイオフィルムEPSのユビキタスな構成要素であり、組成的には断片化した細胞内ゲノムDNAに類似している。いくつかの研究では、ヌクレアーゼを介したeDNAの分解が、実際にバイオフィルムの形成を妨げることが示されている。しかし、これらのヌクレアーゼは、例えば24時間以上の成熟したin vitroのバイオフィルムには明らかな効果がない。

 B-DNAは、ヌクレアーゼによる分解に敏感な右巻きの低エネルギー形態をとり、生理的条件下では最も一般的なDNA形態である。一方で、Z-DNAはワトソン・クリック塩基対を保持した左巻きの構成を持ち、ヌクレアーゼ分解に耐性があり、エネルギー状態が高いため細胞内には豊富には存在しない。Z-DNA結合タンパク質は、まれではあるが、遺伝子制御、ウイルスの病原性(E3Lなど)、自然免疫の感知(ZBP1など)、DNA認識(ADAR-1など)、および炎症に関与している。また、高いイオン強度、Z-DNA結合タンパク質、負のスーパーコイルの存在下でZ-DNAが形成されるという十分な実験的証拠があり、さらに、高エネルギー活性化障壁を低減できるヌクレオチド修飾(メチル化や臭素化など)を介してZ-DNAが誘導されることも分かっている。Z化しやすいDNA配列(dGdCの交互配列など)はあるが、すべてのDNA配列はZ化することができる。最近のZ-DNA研究の進展にもかかわらず、細胞外での役割はまだ発見されていなかった。

 バイオフィルムの安定性に関与する非B-DNA構造の証拠を示した研究はない。最近の発表では、緑膿菌のバイオフィルムの構造に寄与するB型G-quadraplex構造の存在が示されており、細菌バイオフィルムの複雑なアーキテクチャのeDNA構造が浮き彫りになっている。Z-DNAは、ヌクレアーゼに耐性のあるDNAの最も一般的なコンフォメーションである。そこで私たちは、成熟した細菌のバイオフィルムでは、eDNAがZ型になっているという仮説を立てた。この仮説を検証するために、私たちは、試験管内で複数のヒト病原体が形成したバイオフィルム内、および臨床検体に存在するバイオフィルム断片内に、豊富にZ-DNAが存在することを示した。バイオフィルムの安定性に対するB-DNAとZ-DNAの寄与を区別するためにDNase処理を行い、さらに、Z-DNAをB型に誘導したり、逆にZ-DNAをB型に戻したりすることが知られている化合物を用いて、eDNAのB型またはZ型への変換がバイオフィルムの構造や機械的特性に影響を与えるかどうかを調べた。その結果、成熟したバイオフィルムの構造要素として、Z-DNAが安定して存在していることが明らかになった。さらに、Z-DNAは、これらの構造にヌクレアーゼ耐性を付与し、eDNA依存性の細菌バイオフィルムの分解しにくさに大きく貢献していることがわかった。加えて、細菌のDNABIIタンパク質は、宿主由来のB-DNAをZ-DNAに変換することで、多形核白血球(polymorphonuclear leukocyte)のneutrophil extracellular trap (NET)を介した細菌殺傷機能を不活性化することを明らかにした。

 

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