Gut microbiome-related effects of berberine and probiotics on type 2 diabetes (the PREMOTE study)

スポンサーリンク

Zhang Y, Gu Y, Ren H, Wang S, Zhong H, Zhao X, Ma J, Gu X, Xue Y, Huang S, Yang J, Chen L, Chen G, Qu S, Liang J, Qin L, Huang Q, Peng Y, Li Q, Wang X, Kong P, Hou G, Gao M, Shi Z, Li X, Qiu Y, Zou Y, Yang H, Wang J, Xu G, Lai S, Li J, Ning G, Wang W.

Nat Commun. 2020 Oct 6;11(1):5015.

doi: 10.1038/s41467-020-18414-8. PMID: 33024120; PMCID: PMC7538905.

Gut microbiome-related effects of berberine and probiotics on type 2 diabetes (the PREMOTE study) - Nature Communications
The gut microbiome affects systemic metabolism and is a therapeutic target for type 2 diabetes. Here the authors demonstrate in a randomized controlled trial th...

 2型糖尿病の複雑な病態生理のために、高血糖や糖尿病関連の死亡率と罹患率の制御は大きな課題になっている。過去10年間で、宿主の代謝を調節する腸内細菌叢の重要な機能や、腸内細菌叢の異常と肥満や糖尿病の発症の関係について、広範囲に探索されている。ヒトと動物の両方の研究から、腸内細菌叢は肥満手術、食事管理、糖尿病の治療効果に影響を与えると考えられている。アミノ酸、短鎖脂肪酸、胆汁酸の生産または輸送を調節するいくつかの細菌の代謝経路は、宿主の代謝恒常性に関係する細菌の制御に関与している。経口抗糖尿病薬メトホルミンとアカルボースは、腸内細菌叢を変化させ、腸内の胆汁酸シグナリングをブロックすることによって、微生物の胆汁酸代謝を阻害する。興味深いことに、胆汁酸シグナリングは腸内細菌誘発性肥満に必要であることが証明されており、肥満手術の治療効果に影響する。したがって、腸内細菌叢と微生物の胆汁酸シグナリングは、特に2型糖尿病を治療するためターゲットとなる。

 2型糖尿病や他の代謝性疾患の微生物を標的とした治療法の探索は、ますます注目を集めている。インドのアーユルヴェーダ医学や中国の伝統医学の記録では、古来の下痢止め薬として、Berberis aristataCoptis chinensisから抽出された天然植物アルカロイドであるberberine(BBR)が、肝臓の脂質代謝などを促進することで、2型糖尿病を含む代謝性疾患に有効な治療薬であることが報告されている。メトホルミンと同様に、BBRのin vivoでの標的はほとんど明らかにされていないが、BBRによって腸内細菌叢の変化が誘導され、短鎖脂肪酸と胆汁酸代謝が変化する可能性が報告されている。しかし、ヒト腸内細菌叢がどのようにBBRに応答し、微生物の変化がどのようにBBRの代謝に関連しているか、まだ調査されていない。

 代謝性疾患やその他疾患を治療するためのプロバイオティクスの可能性は、腸内細菌叢研究におけるもう一つの話題を提起している。プロバイオティクスによる介入が論争の的になっているのは、菌株や配合の一貫性のない使用法、対象集団の不均一性、研究全体でのバラバラな質と妥当性が、理由かもしれない。興味深いことに、LactobacillusBifidobacteriumなどの常在プロバイオティクスは、アカルボースまたはメトホルミンの単一の使用による抗糖尿病治療後の2型糖尿病の参加者の糞便に豊富に存在していた。

 プロバイオティクスとBBRを併用することで、より優れた抗糖尿病効果が得られる可能性がある。腸内細菌叢の異常を変化させることによる2型糖尿病治療の有効な戦略を見出すことを目的として、我々は Probiotics and BBR on the Efficacy and Change of Gut Microbiota in Patients with Newly Diagnosed Type 2 Diabetes (PREMOTE) を企画し、実施してきた。我々は、中国の20施設から新たに2型糖尿病と診断された患者を対象に、無作為化二重盲検プラセボ対照試験を実施した。参加資格のある49人を無作為に割り付け、抗生物質ゲンタマイシンによる1週間の前処置の後、BBR単独、プロバイオティクス+BBR、プロバイオティクス単独、プラセボのいずれかによって12週間の治療を行った。プロバイオティクス+BBR群とBBR単独群の糖化ヘモグロビン(HbA1c)の変化は、プロバイオティクス単独群とプラセボ群に比べて有意に大きかった。BBRの低血糖効果は、Ruminococcus bromii によるデオキシコール酸の代謝が関与していることがメタゲノムとメタボローム解析により明らかになった。以上、我々の研究は、BBRの2型糖尿病に対する抗糖尿病効果の根底にあるヒト微生物関連メカニズムを報告するものである。

コメント

タイトルとURLをコピーしました