Manor O, Dai CL, Kornilov SA, Smith B, Price ND, Lovejoy JC, Gibbons SM, Magis AT.
Nat Commun. 2020 Oct 15;11(1):5206.
doi: 10.1038/s41467-020-18871-1. PMID: 33060586; PMCID: PMC7562722.
ヒトの腸内細菌は例えば、炎症性腸疾患、2型糖尿病、高血圧、大腸がんを含む様々な疾患の病因として関わっている。糖尿病やコレステロールなどの臨床血液マーカーは、特定の腸内細菌の豊富さと関連している。生活習慣はまた、腸内微生物コミュニティの組成に影響を与える。例えば、食事はマイクロバイオームの組成に大きく影響を与える。また、動物モデルでは身体活動により腸内マイクロバイオームの組成がシフトすることが示されており、ヒトでも同様に運動がマイクロバイオームに影響を与えることについて、小規模なコホート研究から予備的な証拠が得られている。
近年のマイクロバイオーム研究の発展にもかかわらず、腸内マイクロバイオームプロファイルと宿主の臨床血液表現型、食事やライフスタイルのデータ、疾患や薬の使用状況などを統合した大規模なヒト研究は依然として少ない。このような大規模コホートを対象とした表現型研究は、小規模なコホートのデータを用いて確立された関連性を検証するために非常に重要である。
本研究では大規模な横断的研究によって米国の健康な3400人について詳細に分析し、マイクロバイオーム組成と宿主の臨床マーカーおよび生活習慣因子との間の既知および未知の関連を明らかにした。この結果は、宿主の健康状態を改善するためにマイクロバイオームの組成を変化させるような標的を絞った介入への可能性を示唆している。本研究の成果は、宿主の食事と生活習慣因子、臨床血液マーカー、および集団規模でのヒト腸内マイクロバイオームの相互関係を明らかにし、宿主と微生物の相互作用および介入に関する今後の研究のロードマップとなる。
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